土地家屋調査士:寺岡 孝幸(てらおか たかゆき)
資格:土地家屋調査士(とちかおくちょうさし)、行政書士。
取扱い分野:建物滅失登記など表示に関する登記全般。
経歴:開業以来21年間、滅失登記など登記に関する業務を行っています。
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古い家を取り壊して、
新しく家を建て替えるような場合には、
滅失登記をしてから、表題登記をする順番になります。
同じ敷地上に、古い家の登記が残ったままの状態で、
新しい家の表題登記をすることは、
原則、できないからです。
建物を取り壊した時には、建物の滅失登記をして、
建物を新しく新築した時には、建物の表題登記をします。
そして、不動産登記法上では、
建物が滅失してから1ヶ月以内に滅失登記を、
建物を新築してから1ヶ月以内に表題登記を、
建物の所有者が、法務局に申請すべき登記となっています。
ただ、滅失登記も、建物の表題登記も、
1ヶ月という目安の期間を過ぎていたとしても、
現実的に、罰則が適用された例はないようです。
また、滅失登記をしてから建物の表題登記をするケース以外にも、
更地と思っていた土地に、
実は、古い建物の登記が残っていた、ということがあります。
それが、土地の売買によって発見されることも稀にありますが、
多くは、古い先祖からの土地で、
大昔に先祖が住んでいた建物の登記が、そのまま残っているケースです。
ただ、どのような理由であっても、
同じ敷地内に建物を新築して、建物の表題登記をしようとすれば、
先に、古い建物の滅失登記を済ませる必要があります。
現地にはもう無い建物のことなので、
イメージがわきにくいかもしれませんが、
登記上、土地の上に建物が無いようにきれいにするイメージです。
逆に、先に滅失登記をしないで、
同じ場所に建物の表題登記をしてしまうと、
2つの建物が重なって存在することになってしまうからです。
また、その古い建物の所有者が、
自分の直系の先祖の名義であれば、
自分が相続人として、建物の滅失登記を申請できることがほとんどです。
ただ、その場合には、自分の直系の先祖であることのわかる戸籍を、
滅失登記の申請書類の1つとして、添付する必要があります。
また、古い建物の所有者が、
自分とは全く関係のない第三者の場合には、
まずは、その名義人の連絡先を調べることになります。
その名義人が生きている場合もあれば、
すでに昔のことなので亡くなっていることもあるでしょうが、
もし、亡くなっていることがわかっていれば、
その第三者の相続人の連絡先を調べます。
しかし、まったくの第三者の連絡先については、
普通は、古い建物の登記情報を見て、
その所有者の登記上の住所をあたるしか方法はないでしょう。
つまり、少なくとも、古い建物の所有者の登記上の住所に、
今も、その所有者が住んでいるかどうかを調べる必要があるのです。
その住所を調べた上で、そこにはもう住んでいなくて、
どこに行ったのかもわからない、そんな状態であれば、
次の段階の、建物の敷地所有者として滅失の申出を考えるわけです。