
土地家屋調査士:寺岡 孝幸(てらおか たかゆき)
資格:土地家屋調査士(とちかおくちょうさし)、行政書士。
取扱い分野:建物滅失登記など不動産の表示登記全般。
経歴:開業以来23年間、建物の滅失登記など登記関係業務を行っています。
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「滅失登記を自分で行う場合、費用はいくらかかる?」
「滅失登記を業者に依頼する場合、どこに頼めば良い?」
「滅失登記を土地家屋調査士に依頼する場合、費用はどの位?」
建物の滅失登記の費用について、
このような疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか?
建物の滅失登記にかかる費用は、
すべて自分で行う場合と、土地家屋調査士に依頼する場合とで、
大きく違ってきます。
具体的な金額で言うと、滅失登記にかかる費用は、
すべて自分で行う場合、ほぼ0円~3,000円程度ですが、
土地家屋調査士に依頼する場合は、
税抜で4万円~6万円程度が相場になります。
ただし、都会や田舎など地域によって費用に多少の違いがあり、
依頼する土地家屋調査士によっても、
滅失登記にかかる費用が変わってくるのです。
そこでこの記事では、滅失登記の費用について、
自分で行う場合と土地家屋調査士に依頼する場合にわけて、
建物の滅失登記申請業務を行っている土地家屋調査士が、
わかりやすく解説いたします。
この記事を閲覧する事で、滅失登記の費用はいくら位なのかと、
自分で行う場合と土地家屋調査士に依頼する場合の費用の違いもわかります。
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滅失登記を自分で行う場合の費用はいくら?
建物滅失登記を自分で行う場合の費用としては、
大きく分けて次の3つの費用がかかります。
- 建物の登記記録や建物図面などの調査にかかる費用
- 滅失登記申請書や建物滅失証明書等の作成にかかる費用
- 登記申請書類の提出及び登記完了証の受領にかかる費用
それでは、それぞれ具体的にどんな費用で、
いくら位かかるのか見ていきましょう。
1.建物の登記記録や建物図面などの調査にかかる費用
建物滅失登記を法務局に申請する場合、
最初に行うべきことが、滅失した建物の登記記録の調査と、
滅失した建物の位置と形状などを、建物図面で確認する作業です。
建物の登記記録というのは、下図1のような情報のことで、
1通331円~600円の取得手数料を支払うことで、
誰でも取得することができる書面です。
普通は、滅失した建物の登記事項要約書(1通450円)か、
又は、現在事項証明書(1通600円)を法務局で取得したり、
若しくは、ネット上の登記情報提供サービスなどで、
建物の全部事項情報(1通331円)を取得します。
滅失した建物の登記記録の情報が必要な理由としては、
滅失登記の申請書の作成や、建物滅失証明書の作成に、
建物の所在地番、家屋番号、種類、構造、床面積など、
最新の登記情報の記載が必要になるからです。
ただ、お手元に、建物の登記済証など登記情報の資料があり、
その内容によって、登記申請書などを作成できれば、
滅失した建物の登記記録の調査費用はかからないことになります。
しかし、お手元にある建物の登記情報の資料が古い場合、
法務局で登記されている内容と違っていることもあるため、
滅失した建物の最新の登記記録の調査を行うことをお勧めします。
次に、建物図面というのは、下図2のように、
建物の位置と形状が記載されている図面ことで、
取得手数料を支払えば、誰でも取得できる図面です。
普通は、法務局で建物図面(1通450円)を取得したり、
又は、ネット上の登記情報提供サービスなどで、
建物図面(1通361円)を取得します。
滅失した建物の建物図面が必要な理由としては、
滅失した建物の位置と形状が、建物図面に記載の建物と、
一致しているかどうかを、確認しておいた方が良いからです。
ただ、お手元に滅失した建物の建物図面があれば、
滅失した建物の位置と形状を確認できるため、
建物図面を取得する必要はありません。
2.滅失登記申請書や建物滅失証明書等の作成にかかる費用
下図3のような滅失登記申請書や、
下図4のような建物滅失証明書などの書類を作成するには、
多少なりとも費用がかかります。
具体的には、書類をすべて手書きで作成する場合、
用紙代やインク代がかかり、パソコンなどで作成して、
印刷する場合は、用紙代やインク代の他に、電気代もかかります。
ただ、いずれにしましても、書類の作成費用としては、
ほぼ0円か、せいぜい数百円程度と言えるでしょう。
なお、建物滅失登記申請書については、
「建物の滅失登記申請書の様式と書き方」で、
くわしく解説しています。
3.登記申請書類の提出及び登記完了証の受領にかかる費用
登記申請書類の提出及び登記完了証の受領にかかる費用とは、
具体的には、交通費又は郵送代のことです。
登記申請書類は、どこの法務局に提出しても良いわけではなく、
滅失した建物を管轄している法務局に提出する必要があります。
もし、法務局に出向いて登記申請書類を提出する場合、
徒歩で行くなら、通常、費用はかかりません。
しかし、自家用車または公共交通機関で行くとなると、
通常、交通費がかかります。
なお、郵送で登記申請書類を法務局に提出する場合は、
郵送代がかかるということです。
また、建物滅失登記が法務局で完了すれば、
下図5のような登記完了証が発行されます。
もし、法務局に出向いて登記完了証を受け取る場合は、
登記申請書類の提出時と同じように、交通費がかかり、
郵送で受け取る場合は、郵送代がかかります。
以上のように、滅失登記を全て自分でする場合、
滅失登記にかかる費用としては、いずれにしましても、
ほぼ0円~3,000円程度の費用がかかると言えるのです。
なお、建物の滅失登記を自分でする方法については、
「建物の滅失登記を自分でする方法(費用約5万円の節約)」で、
くわしく解説しています。
建物滅失登記はどこに頼めば良い?
建物滅失登記の代理申請を業務として行えるのは、
土地家屋調査士という国家資格者のみです。
よく間違えられやすいのが、司法書士ですが、
司法書士は、建物滅失登記を代理申請することはできません。
もし、司法書士に依頼したとしても、受けてもらえなかったり、
その司法書士の知り合いの土地家屋調査士に頼むことになります。
そのため、初めから、同じ地域の土地家屋調査士事務所に、
建物滅失登記を依頼すると良いかもしれません。
建物滅失登記を土地家屋調査士に依頼すれば、
法務局での資料調査から、現地調査、登記申請書類の作成、
法務局への登記申請書類の提出、登記完了証の受領まで、
費用はかかりますが、代わりにすべて行ってもらえます。
滅失登記を土地家屋調査士に依頼する場合の費用は?
まず、建物滅失登記を土地家屋調査士に依頼する場合、
土地家屋調査士の報酬額については、土地家屋調査士自身が、
各々自由に設定できるというのが現状です。
そのため、依頼する土地家屋調査士によって、
報酬額に違いがあり、都会や田舎などの地域によっても、
費用に多少の違いがあるのが一般的と言えます。
ただ、日本土地家屋調査士会連合会が、
建物滅失登記の報酬額調査を行った結果、
建物の取壊しによる滅失登記の全国平均報酬額は、
税抜きで48,098円でした。
この調査の滅失登記の条件としては、
主たる建物1棟と附属建物1棟の滅失登記で、
土地家屋調査士事務所から現地までは4km、登記所までは6kmで、
建物とりこわし証明書と、法人の印鑑証明書は、預かり書類という条件です。
建物取壊証明書は、建物滅失証明書とも言われる書類ですが、
もし、建物取壊証明書の作成等も土地家屋調査士が行う場合は、
数千円の費用が加算される場合もあります。
なお、上記建物滅失登記の報酬額調査の条件と結果については、
日本土地家屋調査士会連合会のホームページ上で、
土地家屋調査士報酬ガイドの16~17ページに公開されています。
また、日本土地家屋調査士会連合会のホームページでは、
北海道・東北・関東・中部・関西・中国・四国・九州のように、
地域ごとに、建物滅失登記の業務報酬統計資料も公開されています。
以上のように、建物滅失登記を土地家屋調査士に依頼する場合、
依頼する土地家屋調査士や、地域によっても違いがありますが、
土地家屋調査士の報酬額は、税抜きで4万円~6万円程度が相場です。
なお、土地家屋調査士の報酬額以外に、
建物の登記記録や公図、建物図面などの取得手数料が、
通常、立替金として1,000円~2,000円程度かかります。
建物滅失登記をする場合、登録免許税はかかる?
建物滅失登記では、すべて自分で行う場合も、
土地家屋調査士に依頼する場合も、登録免許税はかかりません。
滅失登記をする場合、法務局に支払う金額はいくら?
建物の滅失登記は、すべて自分でする場合も、
土地家屋調査士に依頼する場合も、
登録免許税や申請手数料はかからないため、
法務局に支払う金額は特にありません。
以上、建物の滅失登記の費用について解説いたしました。
なお、建物の滅失登記は自分でできるのかどうかや、
滅失登記の費用や必要書類については、
「建物の滅失登記は自分でできる?費用や必要書類は?」で、
くわしく解説しています。
建物の滅失登記を自分でする場合の具体的な方法については、
「建物の滅失登記を自分でする方法(費用約5万円の節約)」
をご参照下さい。
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