
国家資格:土地家屋調査士・行政書士。
専門分野:建物滅失登記など不動産の表示登記全般。
職務経歴:開業後24年間、建物滅失登記など現場の実務に基づき、数多くの問題を解決しています。
[土地家屋調査士 寺岡孝幸のプロフィールはこちら]

国家資格:土地家屋調査士・行政書士。
専門分野:建物滅失登記など不動産の表示登記全般。
職務経歴:開業後24年間、建物滅失登記など現場の実務に基づき、数多くの問題を解決しています。
[土地家屋調査士 寺岡孝幸のプロフィールはこちら]
実家の敷地内にある古い物置や倉庫、あるいは相続した戸建ての建物を解体した際、
その建物が法務局に登録されていない「未登記建物(みとうきたてもの)」だった場合、
その後の手続きは、どうすれば良いのでしょうか。
「建物を取り壊したら、1ヶ月以内に建物滅失登記をしなければ、
罰則があると聞いたけれど、未登記の場合も法務局へ行くべきなのか?」と、
悩まれる方は非常に多いです。
結論から申し上げますと、未登記建物を解体した場合、
法務局への建物滅失登記の手続きは一切必要ありません。
そもそも登記データが存在しないため、滅失登記をしたくても申請自体ができないのです。
しかし、だからといって、解体後に何も手続きをしないで、
完全に放置してしまうのは、極めて危険です。
なぜなら、適切な手続きを怠ると、解体して消えてなくなったはずの建物に対して、
翌年以降もずっと無駄な固定資産税が課税され続け、
金銭的に大損失を被るリスクがあるからです。
そこでこの記事では、未登記建物を解体・処分した際の正しい対処法と、
市区町村役所への手続きの手順、固定資産税を止めるための実務的な注意点まで、
建物滅失登記の申請業務を行っている土地家屋調査士が、わかりやすく徹底解説致します。
本来、一戸建ての住宅や店舗、倉庫、作業場、駐車場の車庫など、
屋根と壁があって土地に定着している建築物はすべて、不動産登記法により、
新築から1ヶ月以内に「建物表題登記(たてものひょうだいとうき)」を、
申請しなければならないという義務が定められています。
マンションなどの共同住宅は、融資や売買の関係上、ほぼ100%登記がされていますが、
一般的な戸建てや、戸建ての敷地内にある古い離れやプレハブ小屋、倉庫などの場合、
新築当時に登記の手間や費用を惜しんで、あるいは、登記の基準を満たさなかったために、
登記をしないまま放置されているケースが多々あります。これが「未登記建物」の正体です。
建物滅失登記とは、法務局が管理している「不動産登記簿(データ)」を完全に抹消し、
その建物の法的存在を無くすための手続きです。
したがって、最初から法務局に不動産登記簿のデータが存在しない未登記建物は、
消すべき不動産登記のデータそのものがないため、建物滅失登記は不要なのです。
法務局への手続きが不要であるならば、未登記建物は解体工事が終わったら、
何も引継ぎをしなくて良いのかというと、そうではありません。
法務局の代わりに、必ず手続きを行わなければならない窓口があります。
それが、建物の所在地を管轄する「市区町村の役所(固定資産税の係)」です。
未登記建物を解体した際には、市区町村役所に対して、
「家屋滅失届(かおくめっしつとどけ)」という書面を提出するか、
または取り壊した旨の電話連絡を行うルールになっています。
通常、法務局で登記されている建物を解体し、建物滅失登記を完了させると、
法務局から建物の所在地番がある市区町村役所へ、
「建物が消滅しました」というデータが自動的に通知されるシステムになっています。
そのため、登記建物の場合は、市区町村役所へわざわざ出向かなくても、
自動的に翌年の固定資産税が止まります。
しかし、未登記建物の場合は、法務局を一切通さないため、
あなた自身が役所に直接伝えない限り、役所は建物が解体された事実を把握することが困難です。
もし、連絡をせずにそのまま放置してしまうと、
役所の課税台帳には建物が残ったままになるため、
翌年5月頃に「存在しない建物に対する固定資産税の納税通知書」が送られてきて、
最悪の場合、そのまま税金を支払い続けなければならなくなってしまいます。
固定資産税というのは、毎年「1月1日(賦課期日)」の時点で、
その土地や建物などの不動産を所有している人に対して、
その年の1年分の税金がすべてかかってくる仕組みになっています。
そのため、例えばある年の11月に、未登記建物の解体工事が完全に終わっていても、
市区町村役所への家屋滅失届の提出を忘れたまま1月1日をまたいでしまうと、
「まだ建物が建っている」と判断され、翌年分の固定資産税を丸ごと課税してきます。
5月頃に納税通知書が届いてから、「実は去年の秋に取り壊していたんです!」と、
役所の窓口で主張しても、役所側としては本当に1月1日より前に取り壊されていたのか、
それとも1月1日を過ぎてから取り壊したのか、正確な日付の判断ができません。
最悪の場合、取り壊し済みの建物に対して、
1年分の税金を無駄に支払う羽目になりますので、
解体後は年をまたぐ前に、速やかに手続きを行うのが鉄則です。
未登記建物を解体した後の、市区町村役所への実務的なアプローチ手順を詳しく解説します。
役所の庁舎へ直接書類を出しに行く前に、
まずは建物の所在地がある市区町村役所の「固定資産税の係」に、
直接電話を入れてみてください。
役所の課の名称は、資産税課、税務課、市民税課など地域によってバラバラですが、
窓口や電話交換手に「固定資産税の係をお願いします」と伝えれば一発で繋がります。
実は、市区町村によっては、わざわざ窓口まで足を運んで紙の届出書を出さなくても、
「お電話で解体の事実と日付を確認できれば、このお電話をもって手続き受付とします」
という、電話連絡だけで済む親切な役所も増えています。
電話連絡を受けた市区町村役所の担当者は、後日現地を確認したり、
航空写真のデータと照合したりして、次年度からの課税を止める処理を行ってくれます。
書面(家屋滅失届)の提出を求められた場合は、
役所のホームページから用紙をダウンロードするか、
窓口で受け取って記入します。
記入する項目は主に以下の通りです。
提出の際、市区町村役所によっては、「本当に解体工事が行われたか」
という客観的な証拠書類の添付を求められることがあります。
スムーズに受理してもらうために、以下の書類を手元に用意しておきましょう。
「数年前に未登記建物を解体したのに、今でも固定資産税の課税明細書に、
その建物が載ったまま税金を取られている」というご相談を受けるケースが、
実務上よくあります。
この原因は、市区町村役所への家屋滅失届の提出漏れです。
もし過去に遡って税金を無駄に支払っていたと気付いた場合は、
すぐに役所の家屋係へ連絡し、当時の解体契約書、工事費用の領収書、解体証明書など、
「数年前に間違いなく建物が消滅していた証拠」を提示してください。
役所がその証拠を認め、現地調査によって過去から建物がなかった実態が確認できれば、
条例や規定に基づき、支払いすぎていた過去の固定資産税が還付(返金)される可能性が十分にあります。
諦めずに、かならず市区町村役所の固定資産税の係へ相談しましょう。
ここまで、未登記建物の手続きを解説してきましたが、
最後に「自分が取り壊した建物が、本当に未登記建物と言い切れるのか」を確認する、
最も確実な調べ方を解説します。
なぜなら、自分は未登記だと思い込んで、市区町村役所の手続きだけで済ませていたものの、
実は大昔に登記がされており、法務局に登記簿が残ったままだった場合、
将来の土地売却や相続の段階で、売買契約がストップするなどのトラブルに発展するからです。
毎年4月〜5月頃に役所から届く固定資産税の納税通知書(課税明細書)の建物欄を、
確認してください。
建物欄の家屋番号欄に、「家屋番号」という個別の番号が記載されているでしょうか。
家屋番号欄に「〇番〇」といった家屋番号が記載されていれば、
その建物は法務局に登記されている「登記建物」です。
解体後は市区町村役所の手続きではなく、
法務局へ「建物滅失登記」を申請しなければなりません。
逆に、評価額や床面積の記載はあるものの、
家屋番号の欄が空欄や、ハイフン、斜線であれば、
未登記建物である確率が極めて高いと判断できます。
市区町村の課税明細書は、あくまで税金計算のための台帳であり、
稀に法務局の登記データとズレが生じていることがあります。
そのため、絶対的な最終確認を行いたい場合は、
建物の所在地を管轄する法務局の窓口へ向かいましょう。
法務局の窓口にある「登記事項要約書交付請求書」に建物の所在地番を記入し、
「この地番の上にある建物の登記が残っていないか、すべて調べたいです」と、
窓口担当者に伝えてください。
法務局のコンピューターで検索してもらい、該当する建物の登記データが存在しなければ、
そこで初めて「この建物は完全に未登記建物である」という絶対的な断定ができ、
建物滅失登記は不要であると100%確信できます。
未登記建物を解体・処分した際の正しい対処法の要点をまとめます。
未登記建物の場合は、解体工事が終わったら、年をまたぐ前に、
速やかに固定資産税の係へ連絡を入れましょう!
このページを読んだ人は、次の関連性の高いページも読んでいます。