最新更新日付 2024年10月1日

この記事の監修者

土地家屋調査士:寺岡 孝幸(てらおか たかゆき)
資格:土地家屋調査士(とちかおくちょうさし)、行政書士。
取扱い分野:建物滅失登記など表示に関する登記全般。

経歴:開業以来21年間、滅失登記など登記に関する業務を行っています。
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滅失登記とは、一言で言えば、
建物が取り壊されたり、焼失したりして、
建物が無くなったときに行う登記手続きのことです。

ただ、滅失とは何か、登記とは何かがわかっていないと、
滅失登記を行うには何をどうすれば良いのかわからないかもしれません。

そこで、まず滅失とは何かについてですが、
取り壊しや焼失によって、建物が無くなった状態のことを滅失と言います。
滅失の読み方は、『めっしつ』です。

次に、登記とは何かについてですが、
建物を建てた時には、その建物がどこにあって、どんな建物で、どれくらいの広さで、
所有者は誰なのかなどを、通常、法務局の不動産登記簿に記録します。

そして、法務局の不動産登記簿に記録されている情報を登記情報と呼んでおり、
建物が取り壊しや焼失によって滅失した場合には、
その建物の登記情報を抹消する必要があるのです。

建物の登記情報を抹消する手続きのことを、
正式には、建物滅失登記(たてものめっしつとうき)と言うのですが、
略して、滅失登記と呼ばれているのです。

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滅失登記については、
取り壊しや焼失によって、建物が無くなってから1ヶ月以内に、
法務局に申請しなければならないことが、不動産登記法で定められています。

そして、滅失登記の申請は、
滅失した建物の所有者に申請義務がありますので、
その義務をおこたった場合には、罰則が定められています。

しかし、建物が無くなってから1ヶ月以上、
または、数年経過してから滅失登記の申請を行っても、
実際に罰則が適用されたケースはありません。

そのため、建物が取り壊されたり、焼けて無くなったり、
倒壊して無くなった場合には、できるだけ1ヶ月以内に、
建物の所有者から滅失登記を申請しましょう。

なお、滅失登記の申請先は、
滅失した建物を管轄している法務局となります。

滅失とは

建物の滅失とは、簡単に言えば、取り壊しや焼失によって、
建物の主要構造部分が無くなった状態のことを言います。

建物の主要構造部分とは、建物の柱や梁、周壁、屋根などのことで、
建物の主要構造部分がすべて無くなっていれば、
その建物は滅失していると言えるのです。

そして、解体中の建物の滅失の時期の判断については、
社会通念上、建物としての効用がなくなり、
取引の対象にもならない状態になった時に、滅失したと判断できます。

また、建物の全部を取り壊して、
その建物の材料を使って建物を建築した場合(一般的に再築と言います)も、
既存の建物については滅失したと判断され、新たな建物が建築されたと判断されます。

そのため、取り壊した既存の建物については、滅失登記の申請が必要で、
再築された建物については、
建物表題登記(たてものひょうだいとうき)の申請が必要です。

建物滅失登記とは

建物滅失登記とは、
法務局で登記されている建物が滅失したという事実と、
滅失した原因や年月日などを法務局に知らせる手続きのことです。

法務局で登記されている建物が取り壊された場合や、
焼けて滅失した場合には、その建物の所有者から、
滅失した事実と、滅失した原因や年月日などを法務局に知らせなければなりません。

ただ、法務局に知らせるには、書面で知らせる必要があり、
建物滅失登記申請書や、建物滅失証明書などの申請書類を、
滅失した建物を管轄している法務局に提出する必要があります。

滅失登記の申請書類の提出がされれば、
法務局は申請書類の審査を行い、必要であれば現地確認を行った上で、
問題なければ、その建物の登記情報を抹消することになります。

ただ、建物が滅失したからと言って、
必ず滅失登記が必要になるかと言えば、そうではありません。

滅失登記の前提としまして、
その建物が法務局で登記されていることが前提になります。

というのが、全国にはたくさんの建物があるのですが、
そのすべての建物が登記されているわけではありません。

基本的に、建物が建築されてから1ヶ月以内に、
建物表題登記と呼ばれる申請をして、
法務局に対して建物の登記をしなければならないのですが、
現実には、建物表題登記申請をしていない建物も結構存在します。

これらの建物は、登記が未だの建物という意味で、
未登記建物(みとうきたてもの)と呼ばれています。

もし、取り壊したり、焼失した建物が未登記建物であれば、
法務局にはその建物の情報は無いので、
滅失登記をする必要はないということになるのです。

そのため、建物を取り壊したり、焼失したりした時には、
かならず一度は、その建物の地域の法務局で、
その建物が登記されていたかどうかを確認する必要があります。

その滅失した建物が登記されていてはじめて、
建物滅失登記申請ができますし、
建物滅失登記の申請が必要ということになるのです。

逆に言えば、法務局で登記されていない建物(未登記建物)なら、
建物滅失登記をする必要がないということになります。

建物の滅失登記をする前に

建物の滅失登記を考える前提として、
先に、建物の登記情報を取得して、
建物が登記されているかどうかを確認する必要があります。

取り壊された建物が登記されている建物でなければ、
滅失登記をする必要がないからです。

建物の登記情報を取得するには、
近くの法務局やその支局で、交付申請書と手数料を提出すれば、
誰でも取得することができます。

また、建物の所有者でなくても、
法務局の窓口にある交付申請書に、申請人の住所氏名や、
取り壊しをした建物の所在地番等を記載すれば、誰でも取得できます。

そして、その所在地番の上にある建物の登記を取得したい旨を、
法務局の窓口担当者に伝えれば、
その所在地番の上に存在しているすべての登記されている建物の登記情報を出してもらえます。

出してくれる登記情報としては、登記事項証明書や、
登記事項要約書がありますが、
これは申請人が、交付申請書の記載の時に選択できるようになっています。

滅失登記を考えている場合には、
最終の登記情報さえわかれば良いので、
建物の登記事項要約書で十分でしょう。
手数料的にも、登記事項証明書よりも登記事項要約書の方が安いからです。

もし、取り壊された家屋が登記されていなければ、
交付申請書に記載した所在地番上には、
建物の登記はありませんという回答が返ってくることになります。

その場合には、建物は登記されていなかったということですので、
滅失登記も必要ないということになります。

ただ、以上の建物の登記の調べ方については、
ある程度経験のある人と一緒に行った方が良いでしょう。

やはり、法務局の人への伝え方や、確認の仕方1つで、
違った回答が出たり、
実は別の地番の上に建物が有ったという結果になりかねないからです。

その点、建物の滅失登記の専門である土地家屋調査士であれば、
そういったことも含めて確実に調べることができますので、
安心できるでしょう。

もし、ご自分で、滅失した建物の最終の登記情報の取得がご心配の方は、
ネットで不動産の登記情報などのラクラク取得代行をご利用ください。

滅失登記の申請人

滅失登記の申請人は、誰でも良いというわけではなく、
滅失した建物の所有者か、または、
滅失した建物の所有者の相続人が申請人になれます。

まず、滅失した建物の所有者とは、
滅失した建物の登記情報の内、表題部という部分に記載された所有者か、
権利部という部分に記載された所有権の登記名義人のことです。

そのため、建物が滅失すれば、
その建物を管轄している法務局で、その建物の登記情報を取得して、
所有者として記載されているかどうかを確認する必要があります。

また、滅失した建物の所有者がすでに亡くなっている場合には、
その建物の所有者の相続人の1人が、
滅失登記の申請人になれます。

滅失した建物の所有者の相続人であれば誰でも良いのですが、
相続人が申請人になれるのは、
所有者がすでに亡くなっている場合に限ることに注意が必要です。

滅失登記の必要書類

滅失登記の必要書類としましては、
基本的に必要な書類と、
ケースによって必要になる書類があります。

まず、滅失登記で基本的に必要な書類としては、
滅失した建物の所有者 または その相続人が申請人の場合、滅失登記の申請書と、
建物滅失証明書(建物取壊し証明書とも言います)、案内図の3点です。

滅失登記の申請書は、滅失した建物の登記情報をもとにして作成する必要があり、
建物滅失証明書は、建物の取り壊し業者に署名と押印をもらう必要があります。

案内図は、滅失した建物の位置を法務局の担当者に知らせるための地図のことで、
位置図とも言いい、
地図上に滅失した建物の位置を示す必要があります。

そして、ケースによって必要になる書類としては、次の2点です。

もし、登記されている建物の所有者の住所が、現在の住所と一致していない場合、
登記上の住所から現在の住所までのつながりのわかる住民票、
又は、戸籍の附票が必要になります。

もし、滅失した建物の所有者がすでに亡くなっていて、
その相続人から滅失登記を申請する場合には、
所有者との相続関係のわかる戸籍謄本等が必要になります。

建物滅失登記申請の代理人

もし、滅失登記についていろいろと調べたり、
滅失登記申請をするのが面倒といった場合には、
代理人に委任して申請することも可能です。

この滅失登記の代理人になれる人というのは、
土地家屋調査士という国家資格を持っている人です。

土地家屋調査士に滅失登記を依頼すれば、
法務局での調査から、滅失登記申請書類の作成から完了までのすべてを行ってもらえますので、
あなたは、委任状に住所氏名などを書いて、
滅失登記のための費用を支払えば良いだけになります。

一般的な建物滅失登記の費用の相場としましては、
大体1件4万円~5万円前後というのが多いでしょう。

この4万円~5万円前後がもったいないといった場合や、
時間のある方は、一般の人でも十分できるレベルの登記なので、
自分で挑戦してみるのも良いかもしれません。

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