土地家屋調査士:寺岡 孝幸(てらおか たかゆき)
資格:土地家屋調査士(とちかおくちょうさし)、行政書士。
取扱い分野:建物滅失登記など表示に関する登記全般。
経歴:開業以来21年間、滅失登記など登記に関する業務を行っています。
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建物が滅失した時に、一番最初にすべきことは、
滅失した建物の家屋番号の有無を調べることです。
なぜなら、家屋番号のある建物が滅失した場合には、
取り壊しが完了してから1ヶ月以内に、
建物の所有者が、法務局に建物滅失登記を申請しなければなりません。
しかし、家屋番号のない建物が滅失した場合には、
法務局への建物滅失登記の申請はする必要がなく、
市区町村への建物滅失届を提出しなければならないからです。
そこで、家屋番号の調べ方についてですが、
一番簡単な調べ方としましては、
固定資産税の納税通知書(納付書)を調べる方法があります。
毎年、市区町村の税の係りから送られてくる固定資産税納税通知書には、
所有している土地や建物が一覧になって記載されていますので、
そこには、滅失した建物についての記載もあるはずだからです。
そして、建物の所在地番で滅失した建物を、
固定資産納税通知書で特定したあと、
家屋番号が記載されているかどうかを調べます。
もし、家屋番号が登録されていれば、家屋番号の記載があり、
登録されていなければ、家屋番号の欄は空白か、
もしくは、未登記、と記載されます。
そのため、固定資産税納税通知書に載っている家屋番号の欄が、
空白の場合や、未登記と記載されていれば、
建物の滅失登記は、申請する必要がないことになるのです。
次に、家屋番号の調べ方としましては、
固定資産税の名寄帳か、
評価証明書を取得して確認する方法があります。
固定資産税の名寄帳や評価証明書は、
その不動産のある市区町村の役所で取得できるもので、
特に名寄帳に関しては、所有物件が一覧になって記載されているものです。
逆に、評価証明書については、一覧形式というよりは、
個別の不動産の詳細が細かく記載されているものになっています。
ただ、評価証明書を取得するためには、数百円の手数料がかかり、
名寄帳に関しても、手数料が無料の役所と、
数百円の手数料のかかる役所があります。
そのため、建物の取り壊しをして、
その建物が登記されている建物かどうか不明の場合には、
まず、その建物が存在している地域の市区町村の役所に出向き、
名寄帳を取得して、家屋番号の記載が無ければ、
滅失届を提出する流れでも良いでしょう。
なぜなら、名寄帳の取得先も、建物の滅失届の提出先も、
滅失した建物が存在している地域の市区町村の役所で同じだからです。
もし、家屋番号の記載があれば、
市区町村への滅失届は提出する必要がなく、
法務局に対して、建物滅失登記の申請をしなければなりません。
なぜなら、家屋番号の記載があるということは、
少なくとも、法務局で登記がされている建物ということになりますので、
登記がされている建物が滅失すれば、
建物滅失登記の申請が必要だからです。
ただし、名寄帳や評価証明書を取得してみて、
滅失した建物の家屋番号の部分の記載が無い場合でも、
市区町村の記入漏れという可能性もゼロではありません。
そのため、さらに念押しのため、
法務局で、滅失した建物の敷地の地番によって、
登記事項要約書を請求してみるのも良いでしょう。
もし、本当に登記がされていない建物であれば、
敷地の地番で登記事項要約書を法務局に請求しても、
該当する建物がありません、ということになるからです。